とうとう手に入れてしまったのだ。
忘年会で酒が入っていて、ちょっと気が大きくなってしまっていたのが原因だ。帰り道、知人の車に同乗させてもらったのだが(ちなみに彼は忘年会には参加していないので飲酒運転ではない)、なかなか車を出さないから何をしているのかと見ていると、iPodを胸ポケットから颯爽と取り出しBGMをかけはじめた。後部座席では、私と同じように忘年会に出た人がiPod nanoを弄繰り回していた。その場でiPodを持っていないのは自分一人だけという状況である。これは買わねばなるまい。ということで、帰り道に渋谷のApple Storeの前で降ろしてもらい、駆け込むなり「iPod nanoください!」と叫んだのだ。
というのは半分嘘だ。ちょっと脚色しすぎました。
しかし、前から欲しくて欲しくてたまらなかったのは事実である。だが、一昨年購入したSONY製のポータブルCDプレイヤー(MP3/ATRAC3ファイルも再生可能)を持っており、特に買う理由もないので躊躇していた(CDプレイヤーならば、購入したばかりのCDを帰り道で聴けるというメリットもあるし)。ただ、CDプレイヤーだとその大きさから鞄からだらぁーとだらしなくケーブルを出して聴くほかはなく、みっともない上にケーブルが邪魔くさい。やはりポケットに収まる大きさが良い。しかし、従来のiPodだと大きすぎてスーツのポケットに入れようモノならば形が崩れそうなぐらいだったし、ハードディスク内蔵だとディスククラッシュが不安だ。iPod shuffleと選択肢もあったが、クラシック音楽を中心に聴く者としては、順番をshuffleする聴き方はしないし、曲名も確認しながら聴きたい。ということで、いずれiPod nanoのようなものが出るのではないかと期待しつつ待っていたのだ。ちなみに他のポータブルプレイヤーはデザイン面から触手が動かなかった。
使用感はすこぶる良い。iTunesは操作性に優れているし(曲目リストがメニューが階層構造になっていれば尚良かったのだが…)、AACもVBR(Variable Bit-Rate)であれば128kbit/sで充分な音質であるように思える(固定レートだと、量子化雑音が気になる…というのは職業病だ)。さすがAACはいわゆるMP3よりは新しいオーディオ符号化方式だけあって良い(もっとも、これらはおそらくRate-Distortionカーブの限界に近い符号化効率があるとは思うので五十歩百歩だとは思うが)。
同時に購入したのはSEPIACEのケースに、クリスタルフィルムという保護フィルム。キャメル色の皮製のケースは落ち着いたイメージで30半ばのくたびれた中年男が使うには程よい感じではないかと思う。ちなみに、このケースはホールドボタン用の穴が開いていないので、装着状態ではホールドができないという致命的な欠点があるので、その点に納得できない場合は手を出さないほうが良い。また、皮は最初は硬くて絶望的に取り出すのが難しいのだが、なじんでくるとするりと押し出せるようになる。
よく考えてみると、このiPod、自前で買った初めてのApple社製品である。今まで頑なにApple社のものを購入してこなかったのに(Mac miniもヤバかったけど)。おおブルータス、お前もか。