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ちょっと関係する学会(信学会)での発表する予定があったので、世田谷線に乗って某K大まで。ちなみに研究所では学会発表は公式には「業務」であるので日曜出勤となり、代休を取らなければならない。
都下とはいえ基本的に東京で生まれ育った私は生まれて初めて世田谷線なるものに乗ったのだ。三軒茶屋駅などで止まっているのは見ても、あの方面にはなかなか縁がなく実際に乗ることはなかった。小田急線を下高井戸で降りて、昔ながらの緑色の古ぼけた車体が到着するのを期待していたが、ショッキングピンクの近代的な車両がついたので半分がっかり。
学会の方はというと、発表自体はさして特筆するような事態も起きずに無事終了。
が、問題はその後に頼まれていた座長業務だ。何せその日最長の2時間半のセッション。専門以外の話が延々と続くが、仮にも座長なので寝るわけにもいかない。しかも音響学会のように副座長はあてがわれず、司会進行の他にタイムキーパーまでこなさなければならない。そしてあまりにも雑多な発表が集まったおかげで、発表者同士の内容がかけ離れてしまい、ほとんど誰も質問をしてくれない。こうなると、発表後に与えられる質疑応答時間を有意義なものにして何とか発表の体裁を保つために、質問をひねり出さなければならないのは座長の役目。普段ならまったく興味がない門外漢の内容の発表や、スライドの最初から最後まで数式だらけの発表、あんまり激しく突っ込むとへこんでしまいそうなので手加減して質問しなければならない学部4回生の発表など。
疲れました。
一日年休を取って、横浜市にある母校へ。ちょうど卒業式が終わったばかりらしく、はしゃぎ気味の若々しい男女が大学から出てくるのをかき分けて遡上しながらキャンパスへ向かう。だが、このとき、私には「袴姿のうら若き女性も良いなぁ」なんて思う余裕はまるでなかった。なぜなら学位取得に向けた第一歩である予備審査を受けに母校にやってきたからだ。
いらしてくださったのは、主査のS先生以外にO先生(専修外)、K先生、T先生、Y先生、A先生、I先生、O先生、H先生の8名。全然練習をしていなかったが、腕時計をちらちらと確認しながら1分オーバーの46分で発表を終了、質疑応答にもなんとか答えることができた。うち、O先生、I先生、T先生とH先生には副査をお願いすることとなった。ひとまずベルトコンベヤーの上に乗ったことになったようだ。後は4本目の査読が通るのを待ち、学位論文を書き上げ、先生方のスタンプラリーをこなせば良いだけになった。
って、君の行く道は果てしなく遠いのだ。
夕方からは大学の研究室でお世話になったH先生の「退官パーティー」に参加するため、横浜に向かう。いつもならば湘南新宿ライナーで行くようにしているのだが、強風でダイヤが乱れまくっているようなので東横線で行くことにした。東横線で横浜に行くのは実に10年ぶりぐらいだったので、まず地下のホームで「ここ横浜だよね?」とうろうろ、改札口付近で「この出口でいいの?」とうろうろ、改札口を出ても「どうやったらコンコースに行けるの?」とうろうろしっぱなし。
充実の一日であった。
(1年だけであるが)滞在した感じでは「スウェーデンに美味いものなし」というのはあながち間違った表現ではないという印象がある。「なにしろ腐ったニシン(シュールストレミングsurströming)を焼酎で流し込んで食べるような人種だからな」というのは言いすぎだろうが(そもそも日本人こそ腐った豆やクサヤを食べる人種だし)。
しかし、ストックホルムを訪れる知人を必ず案内していたのがHötorget駅(ノーベル賞の授与で有名なKonserthusetがある)のすぐ近くにある地下の市場である。ここのKajsasという店のfisksoppa(まんま「魚のスープ」の意)は大変美味であり、魚を好んで食べる北欧の代表料理といっても過言ではないだろう。御主人様(仮名)がどうしてもそれを食べたいということで、挑戦してみることにしたのだ。
問題はレシピである。やはり探してみると日本語でのレシピは皆無で、英語で見つかるのもイマイチぴんとこない。やっぱりストレートにfisksoppaで検索すると一番最初にぶち当たるレシピのサイトが一番近いようだ。あとは、こちらも参考にしながら作ってみた。ただし、両方ともニンジンとジャガイモを入れているのだが、私の記憶ではKajsasのスープには入っていなかったと思う(単に煮込みすぎで溶けていただけかもしれないが)ので、今回のレシピからは省いた。
レシピ(4人前)白身魚(タラ・コダラの類)の切り身:600g
エビ:200~400g
ムール貝(アサリで代用可):100g
刻みタマネギ:2個
刻みニンニク:3片
オリーブオイル:大さじ2
水:1リットル
乾燥タイム:小さじ2
ホールトマト:1缶
サフラン:少々(高いがあまりケチらないほうが良い)
(辛口)白ワイン:250ml
オレンジの絞り汁:1個分(オレンジジュースで代用可)
ウイキョウ(フェンネル):少々
塩・胡椒:少々Crème fraiche:200mlぐらい(サワークリーム150mlとマヨネーズ50mlで代用可)
ニンニク絞り汁:1~2片分
塩:小さじ1(飾りつけ用の新鮮な生タイム:1枝)
作り方:まずみじん切りにしたタマネギとニンニクをオリーブオイルで数分炒め後に、ウイキョウを加えて更に数分炒める(ウイキョウは手に入らなかったので入れなかった)。水、魚ブイヨンとタイム小さじ1を加える。次にホールトマト(カットトマトよりも美味しいのでこちらがお勧め)を包丁で小さく切って鍋に入れる。塩とコショウで下味をつけて15分煮る。サフランとワインを入れて更に15分煮込む。
この間にCrème fraitche(ヨーロッパで一般的なクリームの発酵させたものらしいが、国内で手に入れるのは絶望的に難しいと思われるのでサワークリームとマヨネーズで代用)とニンニクの絞り汁(チューブ入りのおろしニンニクで代用)、塩を混ぜ合わせておく。このとき、ニンニクの量で辛さが決まるので、適宜調整すること。
次にエビとオレンジ、ムール貝を煮立った状態のスープに入れて5,6分煮る。最後に一口大に切った魚とオレンジの絞り汁を入れて、塩コショウして、タイム小さじ1を入れて完成。生タイム(手に入らなかったので省いた)とクリームを添えて、パンと一緒に頂く。
仕事が立て込んでいるので、3/14は早く家に帰れそうもない。ということで、ちょっと足を伸ばして吉祥寺はアテスウェイというパティスリーへバレンタインのお返しを買いにお出かけ。実は以前行ったときには閉まっていて振られたので、今回は2度目の挑戦だ。交通の便の極めて悪い店だというのに、お客さんでごった返していた。
ここに写っているショートケーキはかなりの甘め控えめ、チョコレートケーキはほろ苦くて大人の味。御主人様(仮名)のために買ったのに、一番楽しんだのは愚息(仮名)のようだ。ま、予想通りの展開だったのだが。
会社は休みを取り、学位取得の主査をお願いしているS先生に予備審査の発表内容を聞いてもらうために、はるばる母校まで赴いたのだ。まずは書類の確認から行ったのだが、恥ずかしいミスをいくつも指摘いただいた。やっつけ仕事でやっているのがバレバレである。発表資料もやっつけ、というかカナリの突貫工事であったのだが、「悪くない」とのお褒め(?)の言葉を頂く。けちょんけちょんに貶されたらどうしようかとヒヤヒヤしていたのでほっとする。まがりなりにも「プロ」の研究者がけちょんけちょんに貶されるようであれば、学位はもちろん今の職業も諦めた方が良いかもしれないが、この期に及んでそれは言わない約束で。
そんなこんなで何とか練習を終えた後は、学生時代にお世話になったH先生と食事。なんと先生がいきつけだという鮨屋につれていってもらう。「なんかこの店テレビで見たことがあるような…」と思っていたら、やはり「いろんな芸能人見るよ」とのこと。席数は少ないのですぐにいっぱいになってしまいそうだが、お客さんが入れ替わり立ち替わりやってくる。ネタは近海ものの魚ばかりで、お店の雰囲気も良い。ご馳走様でした。
来週に控える発表練習のための準備にもいい加減見切りをつけ、梅を撮りに愚息(仮名)と公園に赴いたのだ。しかし、江戸東京たてもの園を外から見ると、なんといつもテントの下で止まっているボンネットバスが敷地内を走り回っているではないか。まさか動態保存だとは思わなかったので私もびっくり。当然、愚息(仮名)は「ボクも乗りたい」と訴える。あまりにも乗りたいようで、もう半ベソだ。そんなに真剣になられても困るのだが、めったに乗れないだろうから乗ることにしたのだ。こんなバス、私も初めて乗るよ。
しかし、「ボンネットバス」というのに、肝心のボンネットが写っていないじゃないかとお思いかもしれませんが、すみません、手違いで撮るのをすっかり忘れてしまいました。バスに乗れて浮かれていたのは実は愚息(仮名)ではなく、私の方だったのではないか。
武蔵野在住の不惑研究者の備忘録。 息子と娘に嫌われないことを目標に日々過しています。
ちなみに登場人物はほとんど匿名ですが、 「御主人様(仮名)」とは私の妻で「愚息(仮名)」は息子のことです。