Piazzolla: Live in Tokyo 1982
★★★☆☆(日本が世界に誇るタンゴシンガー藤沢嵐子さんとの競演)
80年代、ピアソラは地球の真裏に位置するブエノスアイレスからはるばる日本までツアーに数回来ている。その記念すべき初来日公演の様子を収めたCDが来日後22年も経って2004年に発売になった。ひさびさの新譜ということもあって国内のピアソラファンの間では話題になったようだ。実はこの演奏NHKが収録していてFMでオンエアーもされたらしいのだが、NHKがテープを破棄してしまったおかげ(?)でライブ録音の存在は知られていてもなかなか聴くことができずに幻とされていた。しかしコレクターが保存していたカセットテープをリマスターやミキシングなど色々な技術を駆使してようやく発売にこぎつけたようだ。演奏内容は良く、藤沢嵐子さんとの競演は名演だと思う。(ピアソラ本人が毛嫌いしていたが)日本公演サイドの要望で演目に入れたというLa Cumparsita(ラ・クンパルシータ)も収録されている。おそらく後期キンテートのピーク時期だった83年や84年のライブ録音群に比べればアンサンブルに難はあるが、まとまったライブ録音の記録として十分価値があると思う。デニムで上下を決めたピアソラを写したジャケットもかっこいい。
が、いかんせんカセットテープ特有のヒスノイズが気になるし、低域が落ちているお陰でコンソーレのコントラバスがイマイチ聴こえ難いのが欠点。それにアンサンブルの精度も良くない箇所が気になるのでこの星数となった。
もうじき発売される予定である1984年のライブ録音「東京のアストル・ピアソラ」にも期待したい。後期キンテートのライブ録音群をあらかた聴いた方にお勧め。