Piazzolla: En el Teatro Regina(レジーナ劇場のアストル・ピアソラ)
★★★★☆(ピアソラ初のライブ録音)
ここで紹介するのは「ピアソラの定番」とされている有名盤。いわゆる前期キンテートの高みを示す素晴らしい選曲と内容だ。意外かもしれないがこれがピアソラに限らずタンゴ史における初のライブでの収録で、1970年にブエノスアイレスのテアトロ・レジーナで録音された。何故そんな近年(?)までライブ録音がされなかったのかというと、(以下、完全に受け売り)タンゴというのはブエノスアイレス固有のものであり、その都市の人間は生演奏のタンゴは街中でいくらでも聴くことができ、逆に街の外の人間のタンゴのライブ録音の需要というものがなかったからということらしい(そりゃマイナーな音楽ですから)。
まず、Porteñoシリーズ(いわゆる「ブエノスアイレスの四季」)の全曲が一気に聴くことができるという意味で非常に価値がある。バラでよければもっと良い演奏はあるのだが、同じ面子、同じテンションでひととおり聴けるのはこのアルバムだけ。ちなみに、Buenos Aires(ブエノスアイレス、この言葉自体は「綺麗な空気」という意味)が何故Porteñoになるのか。最近知ったのだがその理由は、La Plata(ラプラタ川)の河口にある「港町」(英語のportと同じ語幹を持つ)だからということのようだ。
更にコントラバス奏者の名前を曲名にしたKicho(キチョ)やBuenos Aires Hora Cero(ブエノスアイレス午前零時)など他の曲もどれもこれも素晴らしい。
ピアソラ好きと公言するなら、このアルバムを所有していなければモグリ。