Piazzolla: Live in Wien(ライブ・イン・ウィーン)
★★★★★(入手困難なスーパー録音)
後期キンテートは選りすぐりの優れた録音が多いが、ここで紹介するのはその中でもトップレベルのライブ録音であり、以前別項で記述した“Tristeza un de Doble A”(AA印の悲しみ)と双璧を成す1983年の定番ライブ録音。録音場所も同じウィーンの劇場で行われている。このCDはVol.1と銘打たれているようだが、Vol.2は結局発売されることはなかったらしい。
Decarissimo(デカリシモ)、Riverado(リベラード)、Verano Porteño(ブエノスアイレスの夏)などすべてが高精度でノリの良い名演ぞろい。特に、ヨーヨー・マのおかげでピアソラの代表曲となってしまったLibertango(リベルタンゴ)では疾走感あふれるシーグレルの素晴らしいピアノソロが堪能できる。もともと16ビートのパーカッションを大胆に取り入れた曲が、作曲家本人によって分解され、キンテートを用いて見事に再構築されている。
残念ながら「AA印の悲しみ」と同じように廃盤になって久しく、再発売が望まれる音源である(ネットオークションでは法外な値段で取引されているようだ)。私がピアソラを聞き始めたころにはまだ店で簡単に入手できたのだが…。