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Piazzolla: Muerte del Ángel(天使の死~オデオン劇場1973)

★★★★★(一時的に編成された70年初頭のキンテートの貴重な録音)
Piazzolla_Muerte_del_Angel.jpg
ピアソラのCDの題名は中身をワザと分かりにくくしているのではないかと勘ぐってしまうようなものが多く、海賊版の存在と相まって優れた録音の収集の妨げになっていることは確実である。再発売時にアルバム名を変えてしまうことも多く、曲を減らしたり追加したりで散々な扱いをされることが多い。こうしたところが、素晴らしいピアソラの音源が普及する妨げになっているのではないかと思うと残念である。

ここで紹介するCDは確かにタイトルトラックの「天使の死」は含まれているのだが、この曲だけが突出しているということもなく、構成そのものは普通のライブ録音である。しかし、このCDは実は非常に貴重だ。実はこのキンテートは一時的に編成されたらしく録音がほとんど残されていなかったが、ピアソラの死後に未発表音源として発売された。この録音がなされた1973年の前にピアソラはキンテート(ピアソラ、ゴシス、ルイーズ、アグリ、キッチョのメンバーによるいわゆる「前期キンテート」)を解散し、オクテート(八重奏団)で活動をしている。ここのキンテートはそれともちょっと違う面子で構成されており、ピアソラの他のメンバーはOsvaldo Tarantino (p)、Antorio Agri (vn)、Kicho Diaz (b)、Horacio Marvicino (g)であるが、一番の特徴はピアノのタランティーノだ。

タランティーノは左手の和音に特徴があり、右手は自由自在な即興演奏。Otoño Porteño(ブエノスアイレスの秋)では途中からご機嫌なソロに突入し、マルビチーノとの掛け合いの相乗効果でタンゴの領域をはみ出ている。他のメンバーも感化されたのか、ノリが良く密度の高いアンサンブルを聴かせてくれる。Adiós Noninoもピアノソロが独特で名演。
録音は基本的にモノラルでところどころ音も割れているし、変な編集のおかげで(マスターテープに問題があったのかもしれないが)前述のソロも一部が欠けており、決して褒められたものではない。だが、それを補って余りある演奏内容。この編成の音源がこれしか残されていないのは実に残念。

初心者が最初に聴くにはちょっとつらいかも知れないが、Tango Zero Hourやen Teatro Reginaなどの有名どころを聴き飽きた方には是非お勧めしたい。

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コメント

yusukeサン、このピアソラキンテートの録音は医者でフロクローレのピアニストのエドアルド・ラーゴ宅で個人的に録音されたものが未発表であつたものがリリースされたと聞いています。それもカセツトに録音された決して良い録音ではないようです。小生はFM放送で流れたものをVHsテープに記録してあります。ピアソラの冗談なども記録されています。兎も角貴重なレコードですね。

El Bohemioさん、コメントありがとうございます。そして、こんなインターネットの僻地でひっそりと更新しているblogにようこそ。

収録されている拍手の規模と、ピアソラの声がアンプを通していることから類推すると個人宅で録音したというよりはホールのような気がしますが…(それだけ大きなお家なんですね)。いずれにしても貴重かつ素晴らしい音源ですね!

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武蔵野在住の不惑研究者の備忘録。 息子と娘に嫌われないことを目標に日々過しています。

ちなみに登場人物はほとんど匿名ですが、 「御主人様(仮名)」とは私の妻で「愚息(仮名)」は息子のことです。

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