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September 30, 2006

IKEAで買い物をしてみる。

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念願のIKEAなのだ。優れたデザインと安価な価格設定で世界各国を席巻している大量販売家具店。80年代は「安いけど酷い品質」で有名だったが(実家で使っていた本棚など本当に酷かった)、近年はいろいろと業務改善してそこそこの品質のものを販売するようになり、スウェーデン国内でも評判を取り戻しつつある(現地人の話)とのことであった。日本では一回出店が失敗しているのだが、それから20年近くが経って4月に船橋に開店し、9月に2号店を港北区に開店したばかり。2009年には神戸店を予定しているらしい。

ストックホルム滞在時の思い出といったら「冬は暗く、物価は高く、酒は高額、飯はあまり美味しくない、それに腐ったニシン」などネガティブなものばかりな気がするが(って自分が単にネガティブ思考なだけですが)、スウェーデンが世界に誇れるものといったら、ノーベル賞TETRAパックH&M(日本には未進出)、Volvo、そしてIKEAである。ストックホルムには街の北と南の郊外に2店舗あって、市内から遠いにもかかわらず御主人様(仮名)は暇を見つけては頻繁に訪れていたようだ。暗くて寒い北欧の冬を耐える御主人様(仮名)の心の支えになっていたと言っても過言ではない。大物の家具は日本に持って帰るのが面倒(というか、スウェーデン→日本の輸送代がモノの価格と釣り合わない)なので、購入するのをぐっとこらえて小物を買って欲求をごまかしていたのだが、日本に進出したら心行くまで存分に買うことができる。

ストックホルムで知り合った知人のSさん家族(やはりIKEAフリーク)が上京するというので、港北店に一緒に行くことにした。船橋店の開店時には恐ろしいほど混雑して相当に混乱をきわめたとの情報を得ていたので、開店間もない店に行くのはあまり気が進まなかったのだが、船橋よりは近そうだったので結局港北店に行くことにした。第三京浜を使わずに下道をちまちまと走ったが渋滞にはまることもなく1時間強の行程を経て12時過ぎに到着した。駐車場に入るのにどれぐらい待たされるのか心配だったが、あっさりと駐車場に入ることができ(屋上の駐車場だったが)、入場制限などもなくて拍子抜け。

驚いたことに店構えというか店の構成はストックホルムとほぼ同じであった。だだっぴろい敷地に所狭しと並べられたショールーム内を右へ左へと蛇行し、階下に下りると商品が並べられているところ(マーケットフロア)で実際に品をカートに放り込み、最後に倉庫で大物をピックアップというIKEAの典型的なフロア構成だ。その上、レジを抜けた後には安めのホットドッグスタンドがあるところまで一緒だ。現地のIKEAで大柄のスウェーデン人が両手の指にありったけのホットドッグを挟んで運んでいたのを思い出す。スウェーデンの食品マーケットがあったのがちょっと異なるぐらい。

値段が安いだけあって、家具の質は「それなり」だ。そこらへんを理解して賢く利用するのが良いだろう。あとできれば車で行って、なるべく買ったものは自分で持って帰るようにしたほうが良い(配送費が異様に高く設定されているようだ)。こういうときにはワゴンに乗っている人が特だ。

最後に蛇足だが、スウェーデンの食品マーケットについて。あくまでも個人的な見解だがスウェーデンの食料は我々日本人の口にはイマイチ合わない気がする。今は物珍しさもあって繁盛しているようだが、半年後には閑古鳥がないているかもしれない。これも賢く使うのが吉。ちなみにニシンの酢漬けは意外にイケますのでお試しあれ。

September 29, 2006

授与されてみる。

休みを取って授与式に参加するために久々に三田キャンパスを訪れたのだ。近くのラーメン二郎には卒業以来1,2回来たが、キャンパスそのものは修士の学位授与式の時から数えて11年半ぶり。さすがに3月のメジャーな時期ではないため、全学合わせて総勢158名。まずは全学の授与対象者を集めて塾長や学部長を集めて代表者のみに授与。そして学部ごとに分かれての授与の2段階となった。なんと学生時代にお世話になったH先生は学部ごとの授与式にご臨席頂いただけでなく、理工学部の博士号授与対象者の立食パーティーにも一緒に参加頂いてしまった。恐縮するばかりである。

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ちなみに、この際だから告白させて頂こう。上の写真は会場に到着して目にした自分の姿格好である。寝坊をしてしまったため、上着の近くにぶら下がっていたパンツを急いで穿いて家を出たらこの有様。ぱっと見判りにくいのだがものの見事にスーツの上着(黒字にストライプ)とパンツ(濃紺)がアンマッチしている。この姿で自宅から駅までバスに乗り、中央線と山手線に乗り、学位記を戴くため壇上に登ってしまった。もう晴れの日の舞台も台無しである。いずれにしても心に残る一日になったのだ。

September 27, 2006

SQLiteに移行してみる。

MovableTypeにクロスサイトスクリプトの脆弱性が見つかったため、早速3.33-jaにバージョンアップしたのだ。ついでに、データベースをSQLiteに移行してみることにした。というのも、このblogが動いているサーバは非常に非力で、Berkley DBでMovableTypeを動かすと再構築に非常に時間がかかるという問題があるからだ。

基本的には、データベースの設定(SQLite)を参考にしながら、Movable Type 3.2 マニュアル - Berkeley DBからのアップグレードのとおりに行う。

このマニュアルに記載されていない点:VineLinuxでは、SQLite 2.xをapt-get経由で簡単にインストールできる。DBD-SQLite2などのperlモジュールはrpmではインストールできないので、CPANのDBD::SQLite2のページからDBD-SQLite2-0.33.tar.gzをgetし、perl Makefile.PL; make; make installを行う。

ちなみに、mt-db-convert.cgiを使えば色々なデータベース形式間で変換ができるようなので覚えておいて損はない。これでサイトの構築が少しは早くなった筈。というか早くなったような気がする。プラシーボ効果万歳!

September 25, 2006

レンズにカビを生やしてみる。

明るいレンズが好きなのだ。私は基本的に出不精なので室内で撮ることも多く、そのような場面では「明るい」レンズが必須となること、そして開放f値が低いということは被写界深度を浅くすることができるので、安めのカメラでは得がたいボケが楽しめることである。しかし明るいf値のズームレンズは高額なのでなかなか手が出せない。しかしズームに拘らずに単焦点で探せばいくらでもある(その代わり持ち歩くレンズの数が増えるので重くなるというメリットもあるが)。ということで、おのずと単焦点のレンズを選択することになる。

50mmのレンズは「標準レンズ」と呼ばれるだけあって安価に手に入るので、一眼レフのデジカメを手に入れてすぐに購入した。しかし「標準」だったのはフィルムの時代であり、APS-Cのデジカメでは(特に私がメインに撮影する子供を対象にすると)ちょっと長い。ということであまり使っていなかったら、ものの見事にカビが生えてしまったのだ。せいぜい1万円程度のレンズとは言え、購入して1年。よりによって後玉に。とほほ。
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September 24, 2006

広角レンズを購入してみる。

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(広角レンズを買ったらのおヤクソク=高層ビル)

ずっと懸案だった広角レンズをとうとう購入したのだ。素子のサイズがAPS-Cのデジカメだとどうしても、画角が狭くなるので専用レンズに頼らざるを得ない。幸いなことにキャノンマウントだと純正以外にも色々な選択肢があり、特にトキナーのAT-X124PRO DXにするかどうか散々迷ったのだが、結局無難にEF-S 10-22mmを選んだ。

やはりワイド端では中心部以外は多かれ少なかれ歪むし、ここまで広角だと水平を出すのも難しそうだが、工夫して教会や自然風景などを撮ればなかなか面白そうだ。実は11月に米国+欧州の3週間に及ぶ出張が控えていてここのところずっと憂鬱だったのだが(出不精なもんで)、このレンズを持って行けば楽しいかもしれない。って荷物を増やしてどうすんだという気もしますが。

September 23, 2006

お食い初めをしてみる。

義理の両親を招待して、5月に生まれた下の子供(以降「愚女(仮名)」)のお食い初めを執り行ったのだ。通常お食い初めは100日前後に済ませるようだが、100日前後はちょうど論文執筆で忙しかったので、今週末までずれ込んでしまった。愚息(仮名)のときは自分の両親を招待した。メニューは、コチ鯛の塩焼き、茶碗蒸し、里芋の煮っ転がし、アサリの澄し汁に、赤飯。昼過ぎから御主人様(仮名)は準備に余念がない。しかし、もうすぐ到着するというのに、鍋を開けてみると折角の茶碗蒸しは熱しすぎのお陰で多数のデコボコのクレーターが…。

もったいないがクレーター状のものはとりあえず脇にやって、インターネットで茶碗蒸しの作り方のポイントを検索エンジンで調べて再度挑戦。コツはなんとも簡単。卵とだし汁を沸騰させてしまうと、当然スが立ってしまうので、温度を80℃程度にキープするということのようだ。その他には、蓋についた蒸気が結露して茶碗に落ちないように気をつけること、蓋と鍋に菜ばしを挟んでおけば蒸気が完全にこもらないし、結露した水分が鍋の内側を伝って落ちるので都合がよいとのこと。お陰で無事、とろとろでふわふわの茶碗蒸しを食すことができたのだ。私にとってWWWとは、リアルタイムに変動する情報の泉であることを改めて実感。なんともありがたい世の中になったものだ。

September 22, 2006

庭の彼岸花を撮ってみる。

[クリックすると大きいものが見られます]
別名「曼珠沙華」。英名が「Cluster Amaryllis」ということは、「群れたアマリリス」ということか。昔はほんの数本だったのだが、さいろんなところににょきにょきと生えてきている。

彼岸といえば、我が家の近くには多摩地区で1,2を争う広大な墓地があるので、付近の道が大変に渋滞する。この季節は自転車での移動が一番効率的なのだ。

September 18, 2006

MovableType 3.32-jaにバージョンを上げてみる。

ちょっと時間ができたので、MovableTypeのバージョンを3.32-jaに上げてみたのだ。どうやらMovableTypeは新しいバージョンが出たとしてもあまり急いで飛びつかないほうが良いようなので、実は安定するまで様子をうかがっていた。バージョンアップといっても、3.2-jaからのバージョンアップだから本当に簡単だ。mt-config.cgiをバックアップしておいて、ディレクトリごと置き換えるだけ。サイトを再構築したらあっけなく3.32で動作した。

とそれだけなのもナンなので、懸案だった月送りCalendarの設定に再度チャレンジ。詳しく述べるのも面倒くさいので思い切り端折るが、メイン用のBetaコラム(インデックステンプレート)と月別のBetaコラム(アーカイブテンプレート)に分けて生成するようにして、メイン用は最終月のカレンダーを、月別のは各月のカレンダーをPHPでincludeするように設定する。インデックステンプレートではMTArchiveDateタグが使えないこと(インデックステンプレートだから当たり前なのだが)に気づくまで無駄な時間をすごしてしまった。blog内のエントリが簡単に追えるようになったので多少は使い勝手が向上したはず。

September 14, 2006

GESTSという論文誌について

職場のメールアドレスにGESTS(Global Engineering, Science, and Technology Society)という団体の編集者を名乗る人間から怪しげなメールが来るようになって久しい。どうやらお隣の韓国に基盤を置く組織のようだが、このいきさつがいかにも怪しい。きっかけは、2003年に欧州では権威のある音声処理学会が主催する国際会議(ICSLP)で発表したのだが、「その論文を(GESTSの)形式に合わせてくれれば論文として出版させてあげよう」というメールがいきなりやってきたことに発端する。つまり「レビューは勝手にこっちでやってあげたんだけど、掲載に値するのでそのまま載せてあげるよ」と言ってきているのだ。ちなみに、その国際会議で発表した多数の人に同様なメールが届いていたようで、その国際会議の主催者は「その組織とはまったく無関係」という異例の声明を出している。

通常、論文誌(ジャーナル)に掲載される論文(full paper)の査読は、

投稿→査読(複数人数の専門家)→条件付採録→修正して再投稿→再査読→採録
というプロセスを経る。ごく稀に起きるようだが一回目の査読で条件付採録(conditionally accepted)ではなくいきなり採録(accepted)になる場合もある。もちろんデキが悪ければ査読結果によってはリジェクト(reject)される。一方、国際会議(conference)では2回目の査読作業は通常なく、最初の査読作業の後にいきなり採否が決まる。内容もページ数もジャーナルよりはハードルが低く設定されていることが常だ。

こうして無事採録(accept)された原稿は、その後に背景や追加実験結果を載せたりしてジャーナル論文(full paper)に膨らませたりして論文誌に再投稿するというのは実は常套手段だったりする。もちろん、たいていのジャーナルではこの行為を許容しているのだが、当然普通の投稿として扱われ、通常と同じプロセスを経て査読が行われる。ジャーナル側にしてみれば、どこの馬の骨ともわからない論文よりはまずどこかでレビューされてacceptされている信頼度の高いものを、更にレビューして完成度を上げて載せれば質の良い論文が掲載されるというメリットもある。

しかし、この団体は別の国際会議で公開された原稿を頼みもしないのに勝手にレビューした挙句(通常は投稿者がレビューを依頼するものだ)、「いい論文だからそのまま掲載してあげる」というのだ。ちょっと考えてみれば何かおかしいぞと思えるだろう。国際会議の原稿であろうと、査読者(ボランティア)が貴重な時間を割いて選出したものなのに、その結果をろくすっぽ前述のような査読プロセスを経ずに横から来てかっさらっていくなんて、失礼極まりない行為ではないだろうか。それに掲載料も通常の論文誌の相場よりも高い。

なんだかどこかで聞いたような話だと思えるのであれば、あなたは鋭い。ディプロマミル(Diploma Mill)に類する方法ではないか。ディプロマミルとは、米国に多く見られる学位を簡単に発行する非公認の学校法人のことを指し、(少なくとも米国では)そのような機関から学位を取得することは学歴詐称行為として問題視されている。何か似ていませんか?

やはりジャーナルに掲載されるレベルの論文を書くのは容易な作業ではなく、研究者はどれぐらいの数の論文を出版したかで価値が決まるところもある(悲しいかな質は二の次だったりするが、質を判断するのは査読者だという考え方もできる)。たとえハードルの低い論文誌であったとしてもページ番号やISBN番号などがつけば「1本」としてカウントされるので、こういった勧誘は本数を稼ぎたい人にはありがたいのだろう。しかし、これは「ちょっと本数が足りないなというような人の弱みにつけこんだ商売」と言い換えることはできないか。もちろん純粋に良いものを広めたいという正当な想いがあるのかもしれいが、きちんとした査読プロセスを経ないで掲載するのであれば、査読付論文として扱うには問題があるのではないだろうか。

実は、ちょっと検索エンジンで調べると、GESTSが発行するジャーナルに掲載された論文を業績リストに載せている研究者が多く散見される。個々の事情は良くわからないので、実はその方々は通常のジャーナルのような査読プロセスを経て掲載にこぎつけた方々なのかもしれない。つまり、私のこの団体に対する印象は根本的に間違っているということだ。その場合は、潔くお詫びして訂正しようと思う。

いずれにしても、今のところ私自身はその団体の発行するジャーナルに投稿はしないだろう。そして、この団体からのメールは今後はSPAMとして扱おうと思うのだ。

September 11, 2006

葉書を受け取ってみる。

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学位授与式(9/29)の連絡が、ご覧のとおり葉書としてやってきた。表書きには博士号の種別と番号が記載されている。私の場合は課程博士ではないので、学生証がないので、この葉書が学位記との引換券の役目を果たすようだ。うっかり失くしたりしないよう気をつけねばならないのだ。

September 10, 2006

軽井沢まで遠出をしてみる。

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車も走行距離が1000kmをようやく超え、慣らし運転もこれで終わりなのだ。3000RPM以上まわさないようにがまんしていたが、これからだんだんと回転数の上限を上げていこうと思う。ブルーグラファイトの色も見慣れてきた。基本的には地味な青という感じだが、強い日差しの下ではラメ(?)が見えたり光線の加減ではちょっと赤味がかったりとちょっと面白い。自分以外のGolf Vでこの色は見たことがないので、他の人とは違うのが欲しい場合はお勧めだ。個人的にはユナイテッドグレー(United Gray)が欲しかったのだが、Eグレードには設定がなかったりする。

しかし今回遠出してみて判明したのだが、高速での燃費が異様に良い。往復の平均をとると、16km/lぐらいだ。いくら直噴(FSI)で燃料消費を調整できるからといって、1.5t近い車重のハンディを乗り越えてこの数値は特筆に価すべきだろう。もちろん排気量の小ささ(最安値のグレードのEだと1.6リッター)も手伝っているとは思う。ちなみに街乗りだと多摩地区でも9km/l程度なので(これまたすごい落差だと思うが)、やはり高速のようにアクセル開度を一定にしておく条件で良い結果がでるような設計なのであろう。ってホンダ車あたりでは当たり前の燃費なのかもしれませんが…。

山道ではティプトロニクスが便利で、ギアが選べるので狙った回転数で走行できる。また、アクセルオフでのエンジンブレーキの効きも良いため、運転しやすい。案外良い買い物をしたのかもしれない。というか、そう思いたい。

September 5, 2006

博士号の意味について考えてみる。

昨日の夜遅く、無事に学位取得が専攻教員会議で承認されたとの連絡が主査のS先生からもたらされた。

ほっとしたと同時に、実は複雑な気分である。まぁ由緒正しい学校法人が発行しているのであるから世間一般に認められるのかもしれないが、いざ取ってみると「博士号をとったから何になるんだ」ということを考えてしまう。「博士号は『足の裏の米粒』だ。その心は、『とらないと気持ち悪いがとっても食えない』」という言葉をよく見かけるが、その言葉の意味は案外深い。

そもそも乙種の博士(いわゆる論文博士)の制度というのは日本固有の制度であり、規定の本数の論文がジャーナルに掲載されていなければならないという縛りはあるものの、本来ならば通わなければならない大学にほとんど行くことなく学位を申請するということである。この側面だけを見れば、悪名高き「ディプロマミルあるいはディグリーミル」が通信教育を隠れ蓑に簡単に学位を発行しているのと、やっていることはあまり差異はないと言えよう。文科省が論文博士の制度を今後取りやめようと判断したのも無理はないような気もする。

一方、社会人が課程博士としてやっていくというのも非現実的である。つまり仕事を持ちながらもう一回大学院に入学し直し、通いながら学位論文を執筆するということである。そうやって大学に再入学した人は現に職場にいるが、その人たちも毎日通っているわけではない。良くて1ヶ月に1日、ひどい場合は半年に1回なんて場合もあるようだ。誤解を恐れずに言ってしまえば、これは大学が「学費を納めれば学位を発行したげるョ」と言っているのと同義ではないだろうか。この切り口でみれば課程博士であろうと社会人である限りは学位を金(=学費)で買っているようなものかもしれない。それに論文数も成果のうちである大学にしてみれば所属の教員と共著の論文が発行されというメリットもある。そんな現実を目の当たりにしたら、論文博士という制度だけを「廃止すべき」とするのは納得し難い。けど休職して博士課程にきっちり通えというのはもっと非現実的な話だろう。

などとぐるぐると考えていると博士号の価値なんて、いったい何なのか良く分からなくなってくる。果たしてそんな苦労までして取得する価値があるのか。当たり前のことだが、博士号を持っているから良い研究者だと考えるのは早計だ。それは私が身をもっていくらでも証明してあげよう。一方、その逆のパターンを地でいくのが、ノーベル賞受賞で一世を風靡した田中耕一さんだろう。学位を持っていなくとも世の中に貢献できる素晴らしい研究成果をあげることが可能なことを証明してくれた。医師免許を持っているからといって、良い医者も悪い医者もいるのと一緒だ。

昔の上司でもあり、現在国立T大学で教鞭をとっておられるK教授も「博士の学位はスタートラインに過ぎません。学位を取得した後が重要なのです。」とことあるごとにおっしゃっているのを思い出す。博士号を取得したということは、半人前の研究者がひとまず一人前として認められるようになったよ程度の話なのかもしれない。学位は本当に通過点でしかなく「良い研究者」との称号を得るためには、もっともっと努力しなければならないのだ。学位を取って安心している場合ではないと深く肝に銘じておこう。

September 2, 2006

配布用の簡易製本を受け取ってみる。

とうとう届いたのだ。配布用の簡易製本分。勢いに乗って都合50冊も作ってしまったが、配りきれるかどうかは多少不安である。なんだか自分のポエム集を自費出版で発行した人ってこういう気分なのかなぁと想像してみるのだ。

結局、論文製本には結局3業者さんと付き合ったわけだが、各々の業者さんの対応は異なる。ということで自分なりのレビューを書いてみようかと思うのだ。どなたかの参考にでもなれば幸いだ。ちなみに、他の人は私とは違った印象を持たれるかもしれないが、ここに書いてあるのは、あくまでも私が自腹を切って製本をお願いしたときに感じたことであること、そしてこれを読んで実際にお付き合いした人と感想が異なったとしても何も責任を負えないことをあらかじめお断りしておきたい。

  • ヤマザキ製本 :1回目の正式な製本分(黒くて硬いほう)を依頼した。とにかく早い(中一日で完成)。一冊6,000円とちょっと高価であるが、紐しおり、和紙はさみこみ、丸背表紙がデフォルト(他の製本屋は別料金であることが多い)。コピー・印刷はやってくれないので、自分で原稿を必要部数だけ印刷して持ち込み(あるいは郵送)する必要がある。配布用の簡易製本もやっていないようだ。なお建物の前にちょっとした駐車スペースがあるので〆切ぎりぎりの緊急時に大量の原稿を持ち込むときには便利である。
  • 日本文書:2回目の黒くて硬い製本をお願いした(ミスが見つかった後の差し替え分)。メールによるPDF入稿が可能で、印刷出力→製本したものも宅配便で届けてくれるので便利。最安値ではないが十分競争力のある価格設定で、冊数が増えれば単価が減るというようになっているので、多めに製本する向きには最適。製本結果は良い。特別料金を払えば特急で製本もやってもらえるようだ。ちなみに、営業さんとのメールでのやりとりは感じが良かった(納品後にメールによるアンケート依頼があって、カスタマーサービスに力を入れているのが判る)。個人的にはここを推します。
  • 石川製本:簡易製本をお願いした。ここもメールによるPDF入稿ができ、印刷出力→製本したものを宅配してくれる。しかも印刷・製本前に仕上がり見本を送ってもらって確認できるので安心感がある。価格も安いのだが、対応してくれた営業さんがほとんどメールに返事を寄こさないので、実際に納品されるまで不安な時間を過ごした。そういう意味では正直お勧めできない(担当さんの問題かも知れないが)。

September 1, 2006

論文を配り歩いてみる。

副査の先生方のために依頼していた黒くて硬いの(正製本)があがってきたので、午後はお休みを取って大学に行ったのだ。

まずは学事課に行って主論文の差し替え。副査の先生の名前を間違えてしまったため再製本をしたことを説明し、もう平身低頭で差し替えをお願いしたのだ。何とか「今回は特別に許しましょう」と受け取ってもらった。めでたしめでたし。

今回の来訪のもうひとつの目的が、副査の先生方に黒くて硬いのを配り歩くことだ。聞くところによると学位取得でお世話になった先生方に高額な金品を配るという古くから悪習があるとのこと。そもそも自分の稼ぎは大したものではないし、そんな贈賄まがいのことはしたくないという気持ちがある。その反面、感謝の意は示したいという気もあったので、安めの洋風焼き菓子を手土産に持参することにした。先生方は皆さん「そんなことしないでください」とおっしゃってくださる。(本当に安めの品だったことを見抜いてくださったかどうかは判らぬが)何とか受け取ってもらうことは成功した。

あとは、結果を待つのみ。

武蔵野在住の不惑研究者の備忘録。 息子と娘に嫌われないことを目標に日々過しています。

ちなみに登場人物はほとんど匿名ですが、 「御主人様(仮名)」とは私の妻で「愚息(仮名)」は息子のことです。

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