大磯砂を処理してみる。
底床には最もメンテナンスの楽そうな大磯砂を使用することにしたのだが、いろいろと調べてみるといわゆる大磯砂には貝やサンゴの欠片が混入していて、そのまま使用するとその石灰分が水に溶け出して水の硬度を上昇させてしまうことが判明した。おおむね水草は若干の酸性を好むようなので多少の水草を飼育するのであればアルカリに傾かないように事前に酸処理をしたほうが良いようだ。塩酸や硝酸、食酢を使った酢酸による処理が一般的なようだが、近所のドラッグストアで無水クエン酸が安価に大量に手に入るのでこれを使用することにした。
洗浄した大磯砂(12kg)に無水クエン酸(約300g)をふりかけ水を投入。しばらくすると泡が出てきて「おぉ、反応しておる」と喜んでいたのだが、どうやらこれは砂の間にあった空気がでてきただけのようだ(半透明なケースで処理をしているので外から砂の様子が見られて面白い)。しかし、投入後12時間もすると、以下のような状態になった。
中央の粉のように見えるのが、反応したカルシウム。
クエン酸を使った処理についてはwebを探してもあまり前例がないようので、どのようになるのかちょっと考えてみた。クエン酸(citric acid)と炭酸カルシウム(calcium carbonate)でクエン酸カルシウム(calcium citrate)が生成される。ちなみにクエン酸はレモンなど柑橘類に多く含まれる弱酸である。このときの化学反応は以下のとおり。
CaCO3 + C6H8O7 → Ca3(C6H5O7)2 + CO2 + H2O
生成物であるクエン酸カルシウムは防腐剤あるいはカルシウム強化剤として食品などに添加されることの多い化合物らしい。
塩酸で処理して生成される塩化カルシウム(CaCl2、水溶性745g/l)や酢酸で処理して生成される酢酸カルシウム((CH3COO)2Ca、水溶性400g/l)よりはるかに水溶性が低い(0.95g/l)ので、水に溶け出ることなく残ってしまうようだ。つまりクエン酸処理をした後の大磯砂をかき混ぜると水が白く濁り、沈殿する。塩酸や酢酸で処理するより、効果が目に見えて良いかもしれない。ただ、クエン酸は弱酸であるため、その塩酸に比べると反応は緩やかなので、処理には時間をかける必要があるだろう。
と、ちょっと論文調なエントリになってしまったのは、自分の中では化学実験として捕らえているからではないか。