Last modified: Sat May 22 19:42:31 JST 2004

12/11(Sat) #1

いきなり、なくしてしまったのだ。

普段の勤務態度に問題があるのかどうかは知らないが、 溜まりに溜まった仕事を何とかクリアして、帰宅したのが午前1時。 その時点では荷物の用意は一切出来ていなかった。 成田発が午後9時でなかったとしたら、完全にアウトである。 ま、何とかご主人様と荷造りを完了、新宿駅で荷物を抱えて走ることもなく、 無事NEXに乗り込んで、余裕を決め込んでいた。

成田から飛行機は、貿易風に乗って8時間をかけて飛ぶ。 飛行機の中では、いまいち寝つけないことが多い私なのに、 今回は意外と睡眠をとることができた。 普段なら楽しみにしている機内上映も、まったく観る気が起きなく、 ひたすら寝るだけだったのだ。 ふと目覚めたときに見えた、太平洋上高度10000mの 夜明けは実に神秘的だった。

今回の主たる目的地のマウイ(Maui)島は、オアフ島から飛行機で30分程度かかる。 日系人の怪しげな日本語による誘導で入国審査も無事通り、 乗換えをすべく、アイランド航空(Island Air)のカウンタに向かった。 そこで、気づいたのだ。

どうも、荷物の預り札をなくしたらしい。

2時間後にはマウイ島へのフライトが出発するという状況である。 行き先は、カパルア(Kapalua)空港。マウイ島の東端の小さな空港だと聞く。 そこで、荷物なしで到着するのは心細すぎる。 額に大量の汗が吹き出るのは、 暑さの所為だけではない。冷や汗である。 カウンターの人に、どきどきはらはらしながら、

「あ、あにょ、ワタクシ、実は荷物の預かり札を、 なくしてしまつたようなのですぐぁ、ちゃんとこっちの方に来ているか、 確認していただけますか?」
とお願いしてみる。だが、
「まだ届いていないみたいだから15分後にまたおいで」
と冷たい。半分いらいらしながら、15分後にまたお願いしてみる。 面倒くさそうに、カウンターの裏の扉を開け、探しに行ってもらう。
「あったよ、よかったね」
いやいや、本当に良かった。やれやれと胸をなでおろす。 これで荷物がホノルルに置き去りにされていたら洒落にならない。 成田で、カパルア空港までの荷札をつけてもらったのも幸いしたようだ。 御主人様(仮名)の視線が異様に冷たいのが、 ちと気にはなるが。

時間になったので、ゲートに向かう。 小さな飛行機なんだろうなとは漠然と思っていたのだが、 いやはや、本当に小さな飛行機だった。 しかも2艘のプロペラ機である。


大丈夫か? こんな飛行機で。

座席は自由席だ。まるで、乗り合いバスのノリである。 ふと、2ヶ月ほど前にテレビで取り上げられていた、 ハワイのローカル航空(Aloha Air)で起きた事故のことを思い出した。 70年代に、ハワイ島からオアフ島に向けて飛び立った飛行機の屋根が、 前ぶれもなく吹っ飛んで、 命からがらマウイ島の空港に緊急着陸したという話である。もう、 「ま、まさかこの飛行機の屋根はとれねぇだろうな」と疑心暗鬼になるばかりである。

眼下に広がる風景を眺める。残念ながら曇りであったが、ワイキキビーチ、 有名なダイアモンドヘッドなどを一望することができた。


ダイアモンドヘッドも上から見ればまぁるいのだ

かなり揺れたが、屋根がふっ飛ぶこともなく、無事空港に着く。 パイナップル畑の中に、一応アスファルトの滑走路が一つと、 管制塔兼受付カウンタ兼食堂兼待合室兼ゲートの小さな建物が一個あるだけである。 スタッフもほとんど居ない。まるで田舎のローカル線の駅のような雰囲気だ。 天候は、あいにく曇りで、蒸し暑い。

マウイ島は、バスがほとんど走っていないので、 レンタカーが最も有効な移動手段だ。 ということで、日本から直接電話して予約しておいた。

で、当然、空港にはレンタカー会社のカウンターがあるんだろうと思いきや、 だが、目の前には、 パイナップル畑が広がっているだけである。 他の乗客は、ホテルの迎えが来たり、他のレンタカー会社の車に乗って、 どこかに行ってしまった。

ちと心細くなる。

荷物を受け取った場所を良く見回して見ると、無料電話らしきモノが置いてあった。 いわゆる、宿にかけたりタクシーを呼んだりするモノだ。 運良くそこに番号が載っていたので、電話して迎えにきてくれるように頼む。


待っている間、暇なので「ん〜まんだむ」のポーズ。

30分が経過する。


いつまで経っても迎えが来ないし、暑さで弱ってるの図。

こりゃ、いくらなんでもおかしい。 30分も時間かかるわきゃない筈だ。ということで、もう一回電話して見る。

「あ、今、空港なの? すぐに迎えに行くわ。 3分ぐらい待っててね」
って、アンタさっきもそう言ったじゃん。しくしく。

まぁ、無事車も借りることが出来た。だが、問題は、右側通行である。 これがまた、めちゃくちゃ恐い。

『新婚旅行カップル、ハワイ交通事故で死亡』
なんていう、新聞の見出しが頭をよぎるのだ。

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